防犯カメラを設置することは防犯対策の1つですが、借家やアパートなど賃貸物件に取り付ける場合は注意が必要です。
大家さんや管理会社・近隣住民などに迷惑をかけないようにカメラを利用するには、あらかじめカメラ設置のルールをチェックしておくことが大切になります。
そこで今回は、賃貸物件で防犯カメラを設置する場合のルールや注意点などについてご紹介したいと思います。
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賃貸のベランダに防犯カメラを設置するメリット
空き巣などの侵入盗は、『玄関ドア』よりも『窓』を侵入口に選ぶことが多いという統計データが出ています。
とくにベランダの窓は下記のような理由で防犯面に不安が残る場合も多く、ベランダの対策をすることで侵入に対する防犯性を効果的にアップさせることも期待できます。
- 【ベランダが侵入経路になりやすい原因(一例)】
- ・ベランダに多い『掃き出し窓』はガラスが大きく、玄関ドアより耐久性が低い
- ・ベランダの鍵によくある『クレセント錠』は防犯性が低く突破されやすい
- ・洗濯物干しなどで出入りが頻繁なので、鍵のかけ忘れが起きやすいことがある
防犯カメラは威嚇・証拠の確保に役立つ
ベランダからの侵入対策の効果的なやり方の1つに、『外から見える場所に防犯カメラを設置しておく』という方法があります。
カメラがあることで『証拠を残されるかもしれない』という心理的な負担を侵入犯に与えて、犯行をあきらめさせる効果が期待できます。
また、下見をするタイプの侵入犯の場合は、防犯カメラを見つけた時点でターゲットから外す場合もあるようです。
さらに、もし室内に侵入された場合でもカメラの映像を証拠に残しておくことで、証拠をもとに犯人逮捕につなげやすくなる可能性もあります。
賃貸のベランダに防犯カメラを設置する注意点
防犯カメラを設置することはベランダの侵入対策として効果的ですが、マンションやアパート、借家など賃貸物件で設置するときは注意が必要です。
賃貸物件だとトラブルを防ぐための防犯カメラが、かえってトラブルの原因になってしまう可能性も考えられますので、設置前の手続きなどについては事前にチェックされることをおすすめいたします。
そこでここからは、賃貸物件のベランダに防犯カメラを設置する場合にチェックしておきたいことを3点ご紹介したいと思います。
賃貸契約書のルールを確認
賃貸物件のベランダに防犯カメラを設置する場合、まず『賃貸のルール上問題ないやり方で』行うことが必要になります。
賃貸のルールはマンションやアパートの管理方針によって異なりますが、下記の3点はどの物件でもほとんど共通しているため必ずチェックしておきましょう。
- 【賃貸のベランダに防犯カメラを設置する前のチェック事項】
- ・貸主に許可を得る
- ・プライバシーを守る
- ・壁や天井に穴を開けない
各チェック事項についての詳しい説明は、次からご紹介いたします。
大家・管理会社の許可を得る
賃貸物件では、防犯カメラを大家さん・管理会社といった『貸主側』に無断で設置することはできません。
無許可でカメラを設置した場合、ほかの入居者から苦情が出たり、賃貸契約違反などのトラブルに発展するおそれもあるため、事前に相談せず勝手に防犯カメラを設置することは絶対にやめましょう。
ここでは、賃貸のベランダに防犯カメラを設置するときに必要な『大家さん・管理会社への許可』に関するルールなどについてご説明したいと思います。
賃貸のベランダは共有部分扱いに注意
賃貸物件の各部屋にあるベランダは居住エリアとなるため、プライバシーの観点から貸主側でカメラを設置することは基本的にありません。
しかし、だからといって入居者側で勝手に防犯カメラを設置することはできず、賃貸のルールにも抵触する可能性が高いです。
賃貸の契約上ではベランダは『共用部分』と定められていることが多く、たとえ『原状回復が可能な変更』であっても無断では行うことができないので注意が必要です。
防犯カメラの設置を断られることもある
防犯カメラを設置した場合、入居者としては侵入犯への抑止力や証拠の確保など防犯上のメリットがありますが、貸主側にとってはデメリットになることがあります。
たとえば、カメラがあることで景観を損ねたり、『この物件は空き巣に入られやすい・入られたことがあるのかも』という印象をほかの入居者に与えかねない、盗撮などの犯罪に悪用されるおそれがある、などがおもなデメリットとしてあげられます。
『不安だから』だけだとカメラ設置の許可をもらえないこともあるため『以前、空き巣に入られそうになった・駐車場の車に傷をつけられた』といった際の証拠や、撮影したい範囲なども交えて相談してみることで許可を得やすくなるかもしれません。
また、貸主側の管理方針によっては、貸主側からほかの全入居者に事前説明を行う可能性もあります。
賃貸で借主側がカメラを取り付ける場合は基本的に実費
交渉の結果、許可を得られた場合は、実費でベランダに防犯カメラを取り付けることができます。
ただし、貸主側が必要と判断した場合は、貸主側の負担で全戸のベランダに防犯カメラを取り付けることになる場合もあります。
賃貸のベランダに防犯カメラを設置するときは『ほかの居住者・近隣住民のプライバシーを守る』
防犯カメラはプライバシーの問題に発展しやすく、過去には実際に『防犯カメラによるプライバシーの侵害』が認められて撤去を命じられたという判例もあります。
とくにベランダは室内より撮影範囲が広くなるため、『他人のプライバシーをしっかり守ったうえでカメラを使用する』ように常に気を配っておくことをおすすめいたします。
ここでは、賃貸物件のベランダに防犯カメラを設置する場合の『プライバシー』についての注意事項をご紹介したいと思います。
防犯カメラの位置・角度・撮影範囲に注意
ベランダの防犯カメラでほかの入居者や通行人などのプライバシーを侵害しないようにするには、『カメラの位置などを調整して、プライバシーに関する情報が記録されない』ようにしておく配慮が必要となります。
たとえば下記のような場所がカメラに映るとプライバシーの問題になりやすいため、位置や角度を調整して撮影範囲に入らない工夫をしておくといいでしょう。
- ・隣の部屋のベランダ
- ・向かい・隣の建物
- ・駐車場・ほかの入居者の車
- ・エントランスやベランダ前の道路を通るほかの入居者
防犯カメラにほかの入居者が外出・帰宅するところが映っていると、『行動パターンを把握された』としてプライバシーの侵害につながるおそれがあるため、個人のカメラには映さないようにしたほうが無用なトラブルを避けやすくなります。
『マスキング機能つき』のカメラを活用する
ベランダの状況次第では、『位置や角度を変えると必要な場所を撮影できない』といった事態になることも考えられます。
このような場合は、『マスキング機能』が搭載された防犯カメラを選ぶことでプライバシーへの配慮がしやすくなります。
マスキング機能を使うと映像の一部を任意で塗りつぶして映らないようにできるため、必要な部分だけを撮影することができます。
マスキング機能付きカメラは、専門家が設置・設定を行う必要があるので、設置を考えている人は防犯カメラの専門家に相談してみましょう。
防犯カメラで撮影した映像の管理には充分気を付ける
防犯カメラで撮影した映像を録画保存する場合、映像の保存先や管理方法などには充分に気をつけましょう。
保存した映像がネットに流出した場合、自分や近隣住民の住所を特定されて被害を受けるおそれもあります。
異常のない映像は数日程度経ったら速やかに消去したり、必要な映像もネットにつないでいないPCに保存するなど、できるだけ流出を防ぐような対策をしておくと安心できると思います。
防犯カメラの設置が難しいならダミーカメラの選択肢
プライバシーの観点から防犯カメラの設置許可が下りない場合は、ダミーカメラなら設置できるかどうかを貸主側に交渉してみる方法もあります。
ダミーカメラはカメラの見た目をしているだけで映像は残らないため、プライバシーが侵害されることもありません。
ただし、『ダミーカメラのみ』だと見破られたときは防犯効果がなくなってしまう点には注意しましょう。
ダミーカメラの効果的な使い方やおすすめは下記のページでご紹介しておりますので、導入を検討する際はぜひ参考にしてみてください。
賃貸での防犯カメラは『穴を開けずに取り付ける』
賃貸物件は退去時に入居時の状態に戻す『原状回復』が必要となるため、元に戻すことが難しい『建物の壁・天井などへの穴あけ』は基本的に認められていません。
しかし、ベランダなど屋外に設置するタイプの防犯カメラは風などで飛ばないように『ネジ留め』で固定するタイプがほとんどのため、賃貸に設置する場合はちょっとした工夫が必要になります。
そこでここからは、賃貸で防犯カメラを穴あけ不要で取り付ける方法についてご紹介したいと思います。
手すりや物干しに『ベルトで巻きつけて設置する』と穴あけが不要になる
一部の防犯カメラには、ベルトや三脚を使って細い柱などに巻きつけて設置できるタイプがあります。
ベランダに設置する場合は、手すりや物干し竿、排水パイプなどに巻きつければ穴をあけずにカメラを取り付けられます。
また、Amazonなどのネットショップでは防犯カメラ用の『ベルト付き取付金具』なども販売されており、ネジ留めタイプの防犯カメラでも土台となる金具のサイズさえ合っていれば、巻きつけて取り付けることが可能です。
室内からベランダに向けて防犯カメラを設置する方法もあり
ベランダにベルトで固定できそうな設備がなかったり、別売りの取付金具の利用が難しいときは『室内からベランダに向けてカメラを設置する』方法でベランダを撮影できます。
窓越しのため少し死角はできてしまいますが、外側にレンズが向いたカメラで侵入者を威嚇する・侵入されたときに映像を残すなど防犯カメラとしての機能は充分に利用できると思います。
室内用カメラは雨や砂ぼこりの影響・給電タイプなどを考えなくてよく、Wi-Fiカメラの接続不良も起こしにくいため状況によっては屋外設置より使いやすくなるケースもあります。
赤外線カメラはガラス越しの撮影ができない
防犯カメラで窓越しに撮影する場合の注意点ですが、カメラに赤外線機能が付いている場合、『ガラス越し』の状態だと赤外線がガラスに反射して撮影できなくなってしまいます。
窓越しで夜間撮影を行いたいときは、たとえば下記のような対策方法が必要になります。
- 【窓越しにベランダの夜間撮影を行う方法(一例)】
- ・『暗視カメラ』の機能が付いている機種を選ぶ
- ・カメラにライトがついている機種を選ぶ
- ・ベランダにライトを設置する
防犯カメラ以外の方法でできるベランダの防犯対策
ベランダの侵入対策では、防犯カメラの設置以外のやり方もあります。
許可が下りないなどで防犯カメラの設置が難しいときは、下記のような対策を組み合わせて防犯性を上げる方法も検討してみてください。
対策方法 | 説明 |
---|---|
センサーライト | 人が近づく・通るとライトが点灯して周囲の視認性を上げ、侵入者の威嚇も行う。 カメラの見た目に作られた『センサーライトつきダミーカメラ』もある |
補助錠 | ベランダサッシの鍵を増やすことで、侵入に時間をかけさせる効果が期待できる |
窓用防犯アラーム | 窓ガラスの衝撃や開放を検知してアラームを鳴らす、窓用の防犯装置。 誤作動で近隣に迷惑がかからないように注意する |
防犯フィルム | ベランダの窓ガラスにフィルムを貼り付けて耐久性を上げ、ガラスが破られるまでの時間を長引かせる |
防犯カメラは賃貸のベランダに設置できる?ルールと注意点についてまとめ
今回は、賃貸のベランダに防犯カメラを取り付ける場合の注意点などについてご紹介させていただきました。
賃貸物件で個人的にカメラを取り付ける場合、必ず大家さんや管理会社といった貸主側に事前に許可をもらっておく必要があります。
また、許可を得て設置するときは、周囲のプライバシーに配慮する・建物に穴を開けないなどの注意点やルールについてもしっかりおさえておきましょう。
今回ご紹介した内容も参考にしながら、賃貸でも効果的な防犯対策にぜひ取り組んでみてください。
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