生活音・音楽などによる騒音の目安がわからなくてお困りではありませんか?
『隣の家からの音が気になるけれど、騒音かどうか判断しにくい』などで対応に迷ってしまうという話はよく聞きます。
自分の耳で音を聞いただけでは正確な騒音レベルはわかりにくいですが、騒音には『デシベル』という基準値が設けられているので、客観的な判断をする場合はデシベル数を用いることが多くなっています。
そこで今回は、騒音は何デシベルから騒音と認められるか・騒音の測り方や対策方法をなどについてご紹介したいと思います。
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騒音問題でよく見る『デシベル(dB)』ってなに?騒音レベルの確認方法とは
近隣や上階からの騒音に悩まされているときは、まず『これは騒音と判断していいのか、客観的にどのような音に聞こえるのか』が気になると思います。
音の感じ方・受け取り方は人それぞれなので、具体的な騒音の度合いを調べたいときは『デシベル(dB)』という数値を基準に判断されることが一般的です。
まずは、騒音問題で基準とされる『デシベル』とは何か、デシベル数から騒音レベルを確認するときのやり方などについてご説明いたします。
デシベルは人が聞こえる音を数値化したもの
音の大きさ(音量)は、通常『デシベル(dB)』という単位であらわされます。
無音または人の耳に届かない音量は基準値となる『0デシベル』で、デシベル数が大きくなるほど音の大きさも増していくという仕組みになっています。
騒音の内容とデシベル数の目安を紹介
日常生活の中ではさまざまな音が発生しますが、発生する音のデシベル数は『場所』や『音を出すものの種類』によって異なります。
下記に一般的な音の種類とデシベル数の目安をご紹介しますので、騒音の基準をチェックするときの参考にしてみてください。
騒音レベル(dB) | 音の大きさの目安 |
120 | 飛行機のプロペラエンジンのそば・近くの雷鳴・ドラムの音 |
110 | ヘリコプターの近く・自動車のクラクションのすぐ前・トランペットの音 |
100 | 電車が通る時のガード下・自動車のクラクション |
90 | 大声(独唱など歌声も含む)・犬の鳴き声・騒々しい工場内 |
80 | 地下鉄の車内(窓を開けたとき)・弦楽器やピアノの音 |
70 | 掃除機の音・電話のベル・騒々しい街頭・うるさい事務所 |
60 | 普通の会話・チャイム・時速40キロで走る自動車の内部 |
50 | エアコンの室外機・静かな事務所 |
40 | 静かな住宅地・深夜の市内・図書館 |
30 | ささやき声・深夜の郊外 |
20 | 木の葉のふれあう音・時計の秒針の音(1m以内) |
日常生活で望ましい範囲のデシベル数は『40~50デシベル』の間といわれています。
また、睡眠時については『40デシベル以下』の環境であることが望ましいとされています。
ただし、上記の『望ましい範囲』をこえる音が必ずしも騒音と判断されるとは限らないので注意が必要です。
隣の部屋・隣の家からの音は実際の音量より小さくなる
騒音レベルを確認する場合の注意点ですが、上記でご紹介した表はあくまで『一般的な音の大きさや感じ方』をあらわす目安となります。
『マンションの壁を隔てた状態』『数メートル離れた隣家から』など、音が耳に入る場所や状況によってデシベル数は軽減されるため、たとえば『ピアノの音がする』からといって自分の部屋や家に80デシベルの騒音がそのまま届くことはほとんどないでしょう。
自分が騒音と感じている工場の音や車の走行音、生活音などが実際にどのくらいの音量なのか知りたいときは、専用の道具やアプリなどを使って実際に計測されることをおすすめいたします。
環境省・自治体が定めた基準値をもとに騒音をチェックする方法
環境省では、『騒音に係る環境基準』を規定しており、地域の類型(地域の特性ごとの分類)や時間帯に合わせて、下記のようにデシベル数の基準値を設けています。
地域の類型 | 基準値 | |
---|---|---|
昼間 | 夜間 | |
療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域 | 50デシベル以下 | 40デシベル以下 |
専ら、または主として住居用として供される地域 | 55デシベル以下 | 45デシベル以下 |
相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域 | 60デシベル以下 | 50デシベル以下 |
自分の住んでいる場所がどの類型に当てはまるか知りたいときは、各自治体の窓口に確認する必要があります。
また、上記の表以外でも、『道路に面した地域』『幹線交通を担う道路(国道、都市高速、4車線以上の道路など)』など、自動車道に近い場所にある住居については、さらに基準値が上がるといった特例が設けられていることがあります。
『生活騒音』に関する規制基準は設けていない自治体も多い
先ほどご紹介したように、環境省や自治体では騒音の環境基準を定めていますが、これは工場などの『特定施設』から発生する騒音レベルの基準で、騒音トラブルで問題になりやすい『隣の家や集合住宅の部屋から聞こえる騒音』の基準とは異なります。
足音やドアの開閉音、家電の稼働音などの『生活騒音』に関しては、『個人の行動の自由を制限する』といった観点から規制を設けていない自治体も多いです。
そのため、たとえば『専ら、または主として住居用として供される地域』で、昼間に55デシベル以上の騒音を観測した場合でも、それがすぐに何らかの違反や罰則につながることは現在ではありません。
ただし、騒音被害の改善を訴えるときの『判断材料の1つ』として、上記の表にある基準を活用できるケースもあるようです。
騒音のデシベル数を『騒音計』で計測する方法
家の中や集合住宅の自室の中で聞こえてくる音の具体的な騒音レベルをチェックしたいときは、『騒音計』という専門の道具を使って計測する方法がよく使われます。
騒音計とは音の振動を検知して数値化し、音量を測定するための機械で、測定した音はデシベル(dB)で表されます。
騒音計はホームセンターや家電量販店のほか、Amazonなどのネットショップでも販売されており、1個2,000円~10,000円前後から購入することができます。
デシベル数を測れるスマホアプリを活用して騒音レベルをチェックする方法
最近では、『騒音測定器』といった名前のスマホアプリで音の大きさを計測することもできます。
一部のアプリは無料でダウンロードできるので、『コストをかけずに、おおよその目安を知りたい』という人はアプリを活用する方法もおすすめです。
ただし、アプリによって計測できる数値にばらつきが出てしまうだけでなく、『騒音の証拠』としては基本的に認められないので、証拠集め中の人はご注意ください。
また、測定すれば分かりますが、スマホのマイクで計測しますので、騒音計よりも低い数値が出る点にもご注意ください。
騒音の対策方法を紹介!騒音軽減グッズ・困ったときの相談先など
騒音のデシベル数に関係なく、音で悩んでいるときは対策グッズを使ってみたり、騒音トラブルに対応している機関に相談することで解決しやすくなる可能性があります。
そこでここからは、騒音への具体的な対策方法についてご紹介したいと思います。
騒音対策グッズで騒音を和らげる方法
基準値を下回る大きさの音でも、人によっては耐えられない騒音と感じる場合もあると思います。
当人や行政などに対処してもらうのが難しい程度の騒音でお困りのときは、自分で騒音の対策グッズを使う方法が手っ取り早いでしょう。
『騒音被害を受けている側』が使える対策グッズもいくつかありますので、ぜひ参考にしてみてください。
耳栓
耳栓はシンプルかつポピュラーな対策方法ですが、睡眠時などの騒音対策として一定の効果が期待できます。
安価なものなら100均でも購入できますが、長時間着用する場合は『耳に合っている素材・形状』であることも重要になりますので、用途や目的を考慮しながら自分に合った種類を選んでみましょう。
イヤーマフ
イヤーマフとは騒音から耳を保護するための道具のことで、ヘリコプターの操縦士や空港の従業員が滑走路で作業をする際などに着用します。
本来はジェット機など『130デシベル』をこえるような大きな音の衝撃から鼓膜を守る用途で使用するものなので、日常生活で使う場合の防音効果はかなり高いものが期待できます。
ヘッドホンのような形状をしているため睡眠時の使用にはあまり向いていませんが、一部にはバンドの部分が柔軟な『寝返りがうてるイヤーマフ』などもあります。
防音シート
防音シートを壁や天井などに貼り付けると、貼り付けた場所を通して伝わってくる音を軽減してくれます。
防音シートは『空気の振動』を抑える働きをするため、『人の話し声』や『動物の鳴き声』の音を弱める効果が期待できます。
ただし、足音など『振動を伴う騒音』には効果が薄いことがあるという点に注意しましょう。
騒音の解決を第三者に相談する場合の相談先一覧
騒音問題を解決するには、騒音を発生させている場所や人に騒音をやめてもらうよう要請することが最も効果的だと思います。
しかし、直接文句を言いに行く、などの方法で解決しようとするとかえってトラブルを大きくしてしまう可能性がありますので、なるべく第三者を挟んだうえで穏便に話を進められることをおすすめいたします。
ここでは騒音トラブルのおもな相談先を一部ご紹介いたしますので、お困りの度合いや内容に合わせて相談先を検討してみてください。
集合住宅の騒音トラブルはまず『管理会社・管理組合』に相談
マンションやアパートなどの集合住宅にお住まいで、上階や隣の部屋からの騒音で困っている場合はまず『管理会社』または『管理組合』に相談してみましょう。
賃貸物件の場合は『管理会社(または大家さん)』、分譲マンションの場合は『管理組合』で対応していることが多くなっています。
ただし、集合住宅の管理方針によっては騒音トラブルに対応していないこともあるため、その場合はほかの相談先を探すことになります。
集合住宅以外の場合などに連絡する『その他の相談先』
一軒家での騒音トラブルや、管理会社・管理組合での対応が難しいといわれた場合は、下記のような機関や人物に相談する方法もあります。
相談に行くときは、『何時~何時の間に、どのような騒音が、どれくらいのデシベル数で発生しているのか』などの『客観的な判断材料』を記録したものを持参すると相談がスムーズに進みやすくなることが期待できます。
相談先 | 説明 |
---|---|
弁護士・法律事務所 | 『騒音・近隣トラブル』への対応実績がある弁護士 ・法律事務所に相談するのがおすすめ |
役所・自治体などの公的機関 | ・各市区町村の役所にある『公害苦情相談窓口』 ・各都道府県の公害審査会などの窓口 ・機関が騒音問題に対応している |
警察 | 警察は基本的には『民事不介入』となっているが、ひどい騒音や、騒音が原因ですでにトラブルになっている、などの場合は口頭による注意などで対応してもらえる場合がある |
隣人 | 自分以外の住民も騒音に悩んでいる場合、協力者になってもらえる可能性がある。複数名で被害を訴えることで、問題を重く受け止めてもらいやすくなる効果などが期待できる |
騒音って何デシベルから?目安・測り方・対策方法まとめ
今回は騒音のデシベル数の目安、対策方法などについてご紹介させていただきました。
工場などの施設から発生する音については自治体によるデシベル数の取り決めがありますが、一般住宅には適用されないため注意が必要です。
騒音トラブルをなるべく穏便に解決するには、デシベル数を正確に測るなどの客観的な情報を集めることも大切です。
今回ご紹介した内容も参考にしながら、できるだけスムーズな騒音解決方法を探してみてください。